​​大規模修繕工事の防犯対策10選|管理組合・業者ごとでタスクを紹介

こんにちは、MRCの平松です。

大規模修繕工事では足場が組まれ、施工業者が建物内に立ち入ることから、空き巣や盗難などの犯罪が増加することが考えられます。

防犯対策を適切に行わなかったことで被害が出た場合、管理組合やマンションオーナーが罪に問われる可能性もあるのです。大規模修繕工事を施工業者に一任している管理組合も多いですが、住民の安全を守り、訴訟リスクを避けることを考えると積極的に防犯対策を行うことが好ましいのです。

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大規模修繕工事に防犯が必要な理由

大規模修繕工事 防犯

先述の通り、大規模修繕工事において防犯対策を適切に行わないことは住居の安全性を低下させるだけでなく、損害に対して訴訟が起こるリスクもあります。

そこで、ここでは大規模修繕工事を行う際になぜ防犯が必要と言われているのかについて、詳しく解説します。

足場があるので不法侵入が生じやすい

ほとんどの大規模修繕工事では、建物を囲うように足場が組まれることになります。足場は施工業者が移動するための設備ですが、空き巣犯が足場を使ってマンションのベランダに容易に出入りすることができるようになるのです。

足場には不特定多数の施工業者が出入りすることもあり、特に住民側は業者と不法侵入者の区別をつけることはほぼ不可能です。このため、みすみすマンション内に空き巣犯を進入させてしまうことにも繋がりかねません。

また、大規模修繕工事では騒音が日常茶飯事です。この工事音に紛れて窓を割ることもできます。他にも足場にかけたシートに身を隠すことも容易です。

このように防犯対策をしていない大規模修繕工事は不法侵入者にとっては格好のターゲットとなり得るのです。

金網養生の設置が不十分で不法侵入されるケースもある

足場からの不法侵入を防ぐために使用される金網養生がありますが、建物の近くに樹木などがあることで金網養生がきちんと設置できず、その箇所から侵入されるというケースもあります。

このような場合、樹木を伐採するわけにもいかないため、防犯カメラを設置するなど他の対策が必要です。

足場の出入り口から進入される可能性もある

足場にシートをかけ、侵入されそうな隙間には金網養生を設置し、これで安心…というわけにはいきません。盲点になっているのが足場の出入り口です。

通常、出入り口には鍵やダイヤルロックなどがついていますが、修繕工事が忙しくなってくると施工業者が施錠を怠ったり、忘れたりするケースもあります。日常的に施錠されない機会が増えると、空き巣犯に狙われるリスクが高まります。

近年は足場の出入り口に自動ロック式の扉を設置するなどの対策を取る業者もいますが、管理組合からリクエストをしないと使用されない場合が多いです。

防犯対策を怠れば管理組合が訴訟リスクを負う

ここまで見てきた通り、大規模修繕工事に際して防犯対策は必須です。それにも関わらず、適切な防犯対策を行なわなかった場合は管理組合やオーナーが罪に問われる可能性もあるのです。

例えば、大規模修繕工事の施工日程を住民に説明しなかったため、住民が施錠を十分に行わなかったとしましょう。その結果、空き巣・盗難などの被害が起きた場合には、管理組合・オーナーが責任を果たしているとは言えず、住民が訴訟を起こす可能性は見逃せないわけです。

また「施工日程を伝えたので責任は果たした」と考えるのも危険です。住民側の自衛も重要ですが、施工業者に対して防犯対策を働きかけることが大切です。

管理組合がやるべき大規模修繕工事の防犯対策

大規模修繕工事 防犯

ここまで見てきた通り、大規模修繕工事においては足場や金網養生などから不法侵入されるリスクがあります。管理組合やオーナーは適切に防犯対策を行わなければ、住民から訴訟されるなどのリスクを負いかねません。

このような事態を避けるため、まずは管理組合としてできる防犯対策を自発的にやることです。本稿では、大規模修繕工事における基本的な防犯対策を紹介します。

工事予定の周知

一番簡単な対策は、住民に対して大規模修繕工事の予定を周知することです。具体的にいつから足場が組まれ、施工業者など不特定多数の人が建物内に入ってくるのか。これらの点を明確にした上で、住民には戸締りなどの徹底をお願いしましょう。

戸締りなど防犯対策のお願い

先ほども述べた通り、住民に防犯対策の徹底を「具体的な日時も含めて」伝えることが重要です。管理組合やオーナーが直接、住居の施錠などをして回るわけにはいきませんから、住民が自発的に空き巣の被害に遭わないように心がけることが必要だからです。

一例として、住民へ依頼するための配布資料の文言を以下に記載します。

大規模修繕工事における防犯対策のご依頼

足場の設置期間:2022年4月1日〜6月20日
足場の設置場所:マンション全体

ご依頼

  • 期間中は窓・扉などの戸締りの徹底をお願いいたします。
  • 備え付けの補助錠の使用をお願いいたします。
  • ご不安な方は防犯用センサー、照明、アラームなどの設置をお願いいたします。

注:
大規模修繕工事中、空き巣・盗難などの被害が発生することが増えています。建物の防犯対策は徹底して行いますが、居住者の皆様につきましても各居室の防犯対策の徹底をお願いいたします。

防犯グッズの使用

大規模修繕工事に際して、住民に防犯グッズを用意してもらうか、管理組合・施工業者から配布するケースも増えています。例えば、窓に設置する補助錠やセンサー、人検知機・アラームなど、居室への侵入を防ぐことができるグッズが豊富にあります。

このような防犯グッズの使用を促すことで、万が一空き巣が侵入した際にも居室への不法侵入を防ぐことができます。

施工業者に依頼できる大規模修繕工事の防犯対策

大規模修繕工事 防犯

ここまで住居者や管理組合など、マンション側が実施できる防犯対策を紹介しました。しかし、いくら住民が自衛策を徹底しても施工業者側が対策を怠っては意味がありません。

ただ、施工業者が「やってくれるだろう」という期待の上で要望を出さなければ、対策が実施されない可能性もあります。

そこで、本稿ではマンション側が施工業者に依頼できる対策で、防犯効果が期待できるものを解説します。

足場の出入口をオートロックにする

先述の通り、南京錠やダイヤルロックの扉は施錠が行われない可能性があります。このため、出入口の扉にはオートロック式のものを採用してもらうことが効果的です。

暗証番号は施工業者のみに周知され、部外者は出入りすることができません。オートロック式の扉を設置するだけでも、大きな防犯効果を期待できます。

足場1階には金網を設置する

不法侵入の経路としては、足場からの侵入が多いですが、特に多いのが足場1階部分の隙間から侵入するというケースです。

足場にはメッシュシートが貼られ、一見侵入できないように見えますが、下部の隙間に人一人分が通れる隙間が空いています。施工業者はこの隙間から資材を運んだり、移動したりすることがあるのであえて隙間が空いているのです。

1階部分はこの隙間を金網で閉ざすことで、一定の防犯効果を期待できます。

監視カメラなどの防犯グッズを設置

業者が出入りする箇所など、不法侵入が発生しそうな箇所については監視カメラや人感センサーライト、アラームなどの設置を依頼することができます。特にカメラは実際に空き巣被害などが生じた際にも証拠となる上に、不法侵入者に対しての抑止力にもなり得ます。

施工業者との協議の元、不法侵入が発生しそうな箇所を見てまわり、設置する箇所・設置するグッズを相談することをおすすめします。

施工業者を認識できるようにする

大規模修繕工事においては、マンション住民から認知されていない不特定多数の業者が出入りすることになります。このため「施工業者風」の格好をした不法侵入者を見抜くことは難しいのです。

このため、管理組合が依頼した施工業者には社名のついた「腕章」や「ゼッケン」などを身に付けてもらうことで、業者とそれ以外の区別を行うことができます。

また、管理組合として住民側にも施工業者の見分け方を周知することが大切です。大規模修繕工事が開始する前に、腕章やゼッケンの画像を印刷した資料を配布するなどの施策を行いましょう。

長期休みを挟む場合の警備員巡回

大規模修繕工事の実施期間によっては、お盆や正月休みなど、長期休暇を挟む場合があります。この期間は施工業者の目がなく、住民側も家を空けていることが多いため、業者を装った不法侵入者が来ても気づくことができない可能性があるのです。

このため、長期休暇の期間に警備員に巡回してもらうこともできます。別途人件費がかかりますが、住民の安全の担保などを考慮すると検討することをおすすめします。

​​大規模修繕工事の防犯対策はしっかりと

本記事では、大規模修繕工事の防犯対策について解説しました。最初にも述べた通り、修繕工事の期間には空き巣や盗難が起こりやすく、マンション・施工業者の両者が検討していく必要があります。

ただ、施工業者はあくまで「施工を行う会社」であるため、防犯対策を二次的なものとして捉えている場合があります。このような業者と管理組合で話を進めても、住居の安全性を守るためのより良い施策は考えられないでしょう。

セキュリティ面での安全性も考慮した上で、より良い修繕工事を実施したいという方はお気軽にご相談ください。

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