こんにちは、MRCの平松です。
マンションの大規模修繕工事にコンサルタント会社を入れる設計監理方式を検討される組合の方は少なくありません。
しかし、社会的に不適切コンサルタントの存在が問題になっている今、どのように選定すれば良いのかご不安ではないでしょうか。
そこで、コンサルティング会社を選ぶ基準とともに、不適切コンサルタントの弊害などについても詳しく解説します。
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大規模修繕工事にコンサルタントを入れる理由
大規模修繕工事の検討段階において、責任施工方式と設計監理方式のどちらを選択するか迷われているかもしれません。
- 責任施工方式:施工業者が計画〜施工までを一手に行う方式
- 設計監理方式:施工業者とコンサルタント業者の2社でプロセスを分担する方式
責任施工方式は、設計監理方式と比べると安価である場合が多く、費用的な理由から選択される方もいます。
しかし、修繕計画から施工までの役割を分割することで、施工業者とコンサルタント業者の相互監視機能が働き、透明性を維持した状態で大規模修繕工事を完遂することが期待できます。
10年〜15年に一度の大規模修繕工事の場合、費用面よりも確実性を取るという意味で、弊社では設計監理方式をおすすめしています。
大規模修繕工事における不適切コンサルタントの問題
しかし、大規模修繕工事における不適切コンサルタントの存在が社会的に問題になっている点にも触れなければなりません。
不適切コンサルタントとは、大規模修繕工事に際して高品質な工事が実施されるように支援することがコンサルタントの役割でありながらも不適切な行為によって工事の品質を貶めるばかりか、相場以上の工事費を請求するようなコンサルタント会社を指します。
このような会社を管理組合などが採用してしまうのは、一般的に設計監理方式が推奨される風潮の中で、初めのうちは相場よりも低いオファーを出す不適切コンサルタントがいるからです。
結果として、管理組合はバックマージンの存在に気づかずに依頼してしまい、蓋を開ければ工事費用が当初予定していたものよりも高額になってしまうというケースが後を断ちません。
不適切コンサルタントの弊害
大規模修繕工事のように多額の費用がかかる工事で不適切コンサルタントに引っかかると、様々な弊害が起こり得ます。
ここでは、不適切コンサルタントに依頼してしまうことの弊害について解説を行うとともに、この記事を読む裁決者(管理組合・理事会)の方へ注意喚起を行います。
工事費用が割高になる
先述の通り、大規模修繕工事に際して不適切コンサルタントへ依頼することで、結果として割高な工事費用を請求される恐れがあります。
不適切コンサルタントの特徴として、提案時は破格のコンサルタント費用を提示する点が挙げられます。設計監理方式ではコンサルタント費用が施工業者へ支払う費用に上乗せされるため、安さにつられてしまいやすいのです。
しかし、裏では施工業者と繋がっており、工事費用が相場よりも高額に請求され、不適切コンサルタントは施工業者からリベート(手数料・謝礼金の意味)を受け取っています。
工事内容が過剰になる
上記で、工事費用が割高になることを述べました。しかし読者の中には「相場よりも過剰に工事費が嵩増しされていれば、流石に見抜けるのではないか」というお考えの方もいるかもしれません。
しかし、素人目には見抜けないような過剰修繕工事の追加によって、バックマージンを増やしている場合が多いのです。
マンションは住民の安全を担保しなければなりません。この心理を利用し、マンション設備の不備などを指摘されれば、断ることはできないでしょう。
また、不適切コンサルタント会社と施工業者が裏で繋がっている場合には、相互監視機能が働かず、逆に管理組合・理事会側が説得されることは容易に想像できます。
このため、過剰な工事内容であってもマンション側としては受け入れざるを得ない状況なのです。
工事発注の経路が不明確
不適切コンサルタント会社と施工業者が組めば、工事費の嵩増しがいかに簡単であるかご理解いただけるでしょう。
このように取引の優位性を確保するため、不適切コンサルタントは関係性のある業者へ発注するまでの経路を不明朗にする傾向が見られます。
手抜き工事につながるリスクがある
コンサルタント会社の立場としては、マンション側に最大の利益をもたらすために計画〜発注、監理者との連携、工事実態の監視などを行うべきです。
しかし、不適切コンサルタントの多くが本来業務であるコンサルタントとしての責任を放棄し、施工に関しては工事会社に任せ切っている状態が見られます。
同様に、利益を享受するために不正行為の片棒を担ぐ工事会社が、責任を持って修繕工事を完遂することは想像できません。
結果として、不適切コンサルタントに依頼した場合には手抜き修繕工事につながる可能性が高いのです。
不適切コンサルタントが拡大している背景
不適切コンサルタントの存在により、適切に修繕が行われず、資産価値の維持すらできないマンションが増えています。しかし、そんな惨状であっても不適切コンサルタントが拡大しているのです。
なぜ、不適切コンサルタントの存在が問題視されているにもかかわらず拡大しているのか。この点について解説します。
容易に利益が出せることが背景にある
一番の問題は、不適切コンサルタントと工事会社の癒着により、容易に利益創出が実現できてしまうということが背景にあります。
上述の通り、コンサルタント会社と工事会社が組めば、割高な工事費を請求することは容易です。そこで得た資金を使い、大規模な設計事務所として拡大し、社会的には信頼を得てしまうという流れが問題であると考えます。
また、その設計事務所からさらに建築士が独立していくことで、不適切コンサルタントを行う会社がさらに増えることになります。
このような状況下、不適切コンサルタントが際限なく増加していると考えられます。
結果として優良コンサルタント会社が減少している
また、不適切コンサルタントに優良コンサルタント会社が駆逐され、相対的に不適切な営業をかけるコンサルタント会社が増えている点も問題です。
リベートが得られる分、不適切コンサルタントは営業時点で優位性があります。市場競争が激しくなれば、消費者が選ぶのは安価な方だからです。
このため、優良コンサルタントも不適切コンサルタントのような営業方法を行うか、もしくは倒産していきます。
業界全体の信用が損なわれている
不適切コンサルタントの問題を把握している管理組合・理事会も少なくないでしょう。
しかし、不適切かどうかを判別することは一般的に難しく、結果として業界自体の信用が損なわれている現状は遺憾です。
コンサルタントという立場として、公明正大にコンサルティングを行い、設計管理方式の特徴である透明性・客観性を維持することが重要であると弊社は主張します。
大規模修繕工事におけるコンサルタント選定のポイント
先ほども述べた通り、不適切コンサルタントを見破ることは容易ではありません。
国土交通省では「必要に応じて大規模修繕工事に関する公的な相談窓口を活用していただく」ことを推奨しており、大規模修繕工事で設計監理方式を取り入れるのに際しては、最大の注意を払う必要があります。
国土交通省が平成30年5月11日に出した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施」に記載されている「事前に検討した方がよい主なポイント」についても参考にしながら、より良いコンサルタント会社を探しましょう。
担当技術者の実績を確認する
まずは、コンサルタント会社で大規模修繕工事を担当する技術者の実績を確認しましょう。不適切コンサルタントの中には実績の乏しい担当者も少なくなく、コンサルタント業を金儲けの商売としてしか捉えていない者も存在します。
担当技術者が大規模修繕工事に従事したことがあるかどうかは当然のこと、責任感を持って実務を担当してくれるかを見極めましょう。
また、事務所に訪問して社内の雰囲気を確認したり、実際に修繕が行われたマンションに行って修繕に関するヒアリングを行うことも有効です。
長期的なサポートを依頼できるか
大規模修繕工事は10年〜15年スパンで実施される長期的な工事です。つまり、コンサルタントを依頼するのであれば長期的な視点で観察・支援が行えることが前提となります。
大規模修繕工事が終われば関係が終わり、ではなく、10年スパンの経年変化にも付き添ってくれる会社であるかどうかをコンサルタント会社の選定基準に入れることがおすすめです。
管理組合・理事会との相性
また、大規模修繕工事にあたっては、管理組合・理事会とコンサルティング会社が伴走するような形で計画を遂行していきます。
つまり、修繕の最初から最後まで責任を持ってくれることを確信できる、信頼の足る会社であるかどうかを見極める必要があるのです。
また、長期的な関係性を構築するためには管理組合・理事会との相性を重視すべきです。議論を前向きに進めてくれるか、住民との合意形成にも深く関わってくれるかなどを軸に選定しましょう。
大規模修繕工事にコンサルタントを入れるメリット
信頼の足るコンサルタント会社を選定できれば、大規模修繕工事を納得の行く形で終えることができるでしょう。ここでは、大規模修繕工事にコンサルタントを入れるメリットについて解説をいたします。
工事内容が客観的に定められる
コンサルタント会社を入れる設計監理方式最大のメリットは、工事内容を客観的に定められる点にあります。
施工業者のみの場合、本来不要な工事が盛り込まれたり、必要な修繕箇所が見逃されるというリスクがあります。
こういったミスは建物の資産価値や住民の安全を脅かす恐れすらあるため、工事内容を精査してくれるコンサルタントの存在は重要です。
設計段階で意向を取り入れやすい
また、責任施工方式の場合は施工業者に一任するために管理組合が介入しにくいのが現状です。
しかし、大規模修繕工事では組合の意向を伝えることは必須。この橋渡しをするのが、コンサルタント会社です。
意図をもとに現実的な施工計画を具体化し、工事業者に伝えてくれるため、組合の意向を叶えることができます。
第三者が介入することで透明性が増す
施工業者とコンサルティング会社が大規模修繕工事に介入することで、相互の業務にダブルチェックが入ります。このため、計画〜施工までの作業の質が担保されることになります。
ただし、不適切コンサルタントと施工業者に癒着関係があると、この相互監視機能が働きません。公正かつ信頼のおける会社へコンサルタントを依頼することが重要です。
設計監理方式のデメリット
大規模修繕工事にコンサルティング会社を介入させる設計監理方式に際して、公明正大な関わり方をしてくれる建築会社を選定することができれば、これ以上にないほどの安心感を得ることができるでしょう。
一方で、設計監理方式を採用するのにはいくつかデメリットもあります。利点・欠点を理解した上で、設計監理方式にするのか、責任施工方式にするのかを決めましょう。
設計費用が別途発生する
前述の通り、設計監理方式で不適切コンサルタント会社を選んでしまうのは費用面によるところが大きいと言いました。
その通り、責任施工方式では工事会社1社のみの依頼となるため、設計監理方式と比べると安価である場合が多いです。
設計監理方式を採用するのであれば、大規模修繕工事の費用は高くなることを考慮に入れる必要があります。
一方、設計監理方式の利点として、施工業者・コンサルタント会社の相互監視機能が働くため、結果として質の高い工事につながる点が挙げられます。質の高い工事につながるということは、建物の資産価値の維持にもつながります。
施工業者のみの場合、どうしても工事の質が担保されません。このため、長期的に見ると設計監理方式の方が金銭面でも優れているというケースは少なくないのです。
施工業者のバックマージン問題
また、設計監理方式であってもコンサルタント会社の選定を誤れば、結局割高な工事費用が請求されてしまうリスクが伴います。
これは、不適切コンサルタントの弊害について述べた通り、社会的な問題にまで発展しています。
先ほど紹介したような選定基準を押さえつつ、第三者として責任を持って介入してくれるコンサルタント会社に依頼しなければ、設計監理方式の恩恵を受けることはできません。
大規模修繕工事のコンサルタントは弊社へご依頼ください
大規模修繕工事のコンサルタントを行う弊社としても、業界全体の信頼が損なわれる不適切コンサルタントの存在は遺憾です。
大規模修繕工事のコンサルタントまたは選定補助業務にお困りの際は、「管理組合様の最良のパートナーであること」を最大のミッションとしている弊社にご相談ください。
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