マンションの建物診断とは?実施するメリットや流れを紹介

こんにちは、MRCの平松です。

マンションに安心して住み続けるために、建物診断をしっかりと受けていますか。建物の診断をしなくても、定期的にメンテナンスをしているという方もいるでしょう。

しかし、建物診断を上手に利用すれば、長期的に資産価値と安全性の両方を守っていけます。

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建物診断とは

建物診断とは、建物の状況を様々な方法を用いて把握するものです。人間で例えるなら、健康診断や人間ドックをイメージできるでしょう。

竣工図面や過去の修繕履歴、また目視や機器を用いてマンションの内と外の両方に問題がないかをチェックしていきます。

マンションに住んでいる方であれば、ひび割れやタイルの剥がれなどは目視で確認できます。しかし、建物の内部まではなかなか確認ができません。また、専門家でなければ判断できないような症状もあるでしょう。

建物診断を実施すれば専門機器による化学的な調査ができるので、建物の健康状態を正確に見極める事ができます。つまり、マンションで健全に安心して住み続けるためにも、定期的な建物診断は必要です。

建物診断をするメリット

マンションの建物診断をすると、建物の状態を正確に把握できます。建物の事をしっかりと知ると様々なメリットが得られますので、ここではそのメリットについて紹介していきます。

劣化状況が把握できる

どんなに綺麗に見える建物でも、確実にダメージは蓄積していきます。しかし、専門的な知識を持った人でないと、本当の状況はわかりません。建物診断を実施すれば、目には見えない部分まで正確に劣化状況を把握できます。

例えば、外壁のタイルやコンクリート片の剥落などは、急に起こる事故ではありません。建物の内部や外部が少しずつ劣化していく事で、ある日起こってしまいます。しかし、建物診断を実施する事で、事故が懸念される劣化箇所を発見し修繕までできます。

つまり、建物診断によって安全が担保されるので、大きなメリットといえるでしょう。

また、今は重大な事故を引き起こすリスクは小さいものの、今後注意深く見ていかなければならない場所などもわかるでしょう。すると、修繕の優先順位も把握できるので、計画的な修繕が可能になります。

大規模修繕工事の実施時期や予算を検討できる

建物診断を実施すれば、大規模修繕工事の計画を立てやすくなります。管理組合などの方は、大規模修繕工事を実施しやすくなるのではないでしょうか。

マンションの大規模修繕工事は、約12年周期で実施していくのが一般的です。しかし、マンションによって状況や環境は違うので、ベストなタイミングは全く違います。もし建物の状況を把握しないまま大規模修繕工事を実施すれば、無駄が発生するリスクは高いでしょう。

建物診断を事前に実施すれば、12年周期で予定していた工事を後ろに延ばす事ができるかもしれません。また、大規模修繕工事が必要な箇所を正確に把握できれば、ある程度のコストもわかります。もし工事までに時間があるのであれば、予算の準備をする事も十分に可能です。

大規模修繕工事は大掛かりな工事ですので、準備なしですると失敗してしまうリスクは高いです。しかし、建物診断を実施する事で、余裕を持って本当に必要な工事ができるようになるでしょう。

資産価値を保てる

耐震診断は資産価値を長期的に保つのにも有効です。

例えば、外壁塗装の寿命は10~15年といわれていますが、紫外線や立地状況などによってはもっと早く機能を失ってしまいます。もし外壁塗装が持つ機能を失ったままにしていると、見た目が悪くなるので市場価値、つまり資産価値は落ちてしまうでしょう。

また、外壁塗装には防水機能があるので、雨水などが建物内部に浸水するようになってしまいます。鉄筋コンクリートの場合、内部にまで水が浸入すれば大変な事態になってしまいます。

建物診断は建物の劣化状況を把握するものですが、合わせて住宅という資産を守るすべでもあります。

耐震診断により地震への対策ができる

建物診断で耐震診断を実施すれば、大きな地震にも耐えられるような対策も可能になります。

1981年に建築基準法が改定され、基準が大きく引き上げられました。その結果、それ以降に建てられたマンションに関しては、地震に対して高い能力を持っています。しかし、それ以前の建物に関しては、安心して暮らすためにも耐震性能を調べる必要があるでしょう。

もし、耐震補強を実施して構造的な能力を向上させていたとしても、設備面で弱い恐れがあります。例えば、変圧器や水槽、その他設備が転倒、破損する可能性などです。ライフラインに大きなダメージがあれば、地震をしのげてもその後の生活に支障をきたします。

建物診断で耐震診断を実施すれば、地震へのリスクに備える事が可能です。

建物診断の流れ

建物診断を実施するメリットがお分かりいただけたと思います。では、実際にどのような流れで建物診断がされるのでしょうか。ここでは流れを紹介していきます。

事前調査

本格的な建物診断をする前に、事前調査がされます。具体的には、竣工図書や図面などの確認と住民へのアンケートです。

書面を確認する事で現状を把握して、どのような可能性があるのかを整理していきます。合わせて住民へのアンケートによって、不安に思っている事や要望などを把握します。この中から雨漏りやひび割れ、排水の状況など注意すべき内容があれば、重要事項として傾向の分析が可能です。

ここでおおよその内容を把握しておく事で、より精度の高い調査ができるようになります。

目視・打診による調査

事前調査である程度の状態が把握できれば、次は目視・打診による調査です。

例えば、共用部分で立ち入りができる範囲で劣化や故障個所などを、目で見たり実際に触れたりして状態を確認していきます。また、タイルや下地などを専用の道具で叩いたりして、浮きがないかを見ていきます。

他にも住民へのアンケート結果を踏まえて、バルコニーの調査をする場合もあるでしょう。その場合は、専有部分に入る必要があるので、事前に案内をして希望者に限り実施する事が多いです。

機械調査

目視調査などをした結果、より精密な調査が必要な場合は機械を使って調査を行います。

例えば、X線調査や超音波調査なら、コンクリート内部の鉄筋や配管の状況を調べる事が可能です。赤外線調査であれば、目視などでは確認できなかったタイルの浮きなどを把握できます。

他にも、コンクリート壁の一部を採取して専用の試薬を塗布する調査では、コンクリートの中性化深度の測定ができます。通常コンクリートはアルカリ性で機能を保っていて、中性になるほど内部の鉄筋が錆びやすくなります。この調査をする事で、必要な場合は補強や補修が可能です。

調査報告書の提出

マンションの規模によって前後しますが、基本的には建物診断は2日程度です。その調査が終われば調査報告書を提出して、建物診断を完了します。

報告書には図面や写真などを用いて、場所と劣化状況が誰でも簡単にわかるように詳しく記載されています。そのため、調査報告書が完成するのに、かなりの時間がかかる場合があります。結果をすぐに欲しいという場合は、建物診断を依頼した会社に相談してください。

また、建物診断を終えた段階で、調査報告会などを実施して管理組合の役員などに調査結果を説明をする場合もあります。これも調査会社によって違うので、気になる場合は問い合わせてください。

まとめ

マンションの建物診断を実施すれば、建物の劣化状況を正確に把握できます。したがって適切なメンテナンスをして、安全性や資産価値を向上させる事が必要です。また、約12年周期でやってくる大規模修繕工事もしやすくなるので、工事が迫ってきている管理組合の方はぜひ診断を検討してみてください。

なお、調査は調査報告書を受けるまでに時間がかかる事が多いので、受ける場合は余裕を持って調査してもらうようにしましょう。

マンション大規模修繕工事、長期修繕計画、セカンドオピニオンに関するご相談はこちらまでお問い合わせ下さい。

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